【完】翼龍 ヨクリュウ ~あたしとクールで腹黒な総長と~
俺が黙ったままだったのを
ダメだと受け取ったのか、
さなはニッコリと笑って
「あと、笑いのセンスも
必要じゃないですか?」
と、努めて明るく言った。
フッ
つい、笑いが漏れる
「みなさん 笑い上戸みたいですし!?」
と 畳みかけてくるさな。
すると、
「ププ、ハハハハハハハァ」
と後方から笑い声。
「おもしろいねー。さなちゃん」
幸 だった。
手を叩きながら 歩いてくる。
少し後ろには、直もいる。
いつからいたんだ?
もっと、早くに出てきてくれりゃー
サボれたのに。
眼で直に聞く
“いつからいた?“
眼で返す直
“だいぶ、前“
ったく。
どこから見てたんだよ。
ちらっと、幸を見ると愉快そうだ。
わざと、来なかったのは幸のせいか。
そう、確信した。
幸から視線を戻すとき、何となく
さなもみる。
傍目にもさなの顔がみるみる赤くなる
さなは近づいてくる、幸達から離れようと
後ろに後ずさると
「グワァ」
足を滑らせて、芝や草の生えた坂を
滑り落ちていく。
あまりのことに声が出なかった