【完】翼龍 ヨクリュウ ~あたしとクールで腹黒な総長と~
だが、それは幸達も同じだったようだ。
俺は直ぐにハッとして、動き出す
幸達も、後に続いてくるのが背中からの気配で分かる
俺は、とにかく足を動かした。
転がっていくさなを
急いで追いかける。
なんでこんな必死になってんだ、俺?
自分でも不思議なほど、全力で走っていた。
だが、間に合うはずもなく、
下に落ちきってやっと
さなを腕に抱くことができた。
「ハァハァ」
息が苦しい。
肺が痛い
近頃、バイクばっかで体が鈍ってるな。
こんなことなら、鍛えときゃよかった。
さなを抱え上げたとき、後ろから声がした。
「涼!無事か?」
直が、叫ぶ
息が切れてないところはさすがだ。
「意識がない。
教師でも、呼べ」
俺は少し絶え絶えにいった。
悔しいな。
カッコイイわ直。
そして、少し遅れて幸もついた。
それから、直と幸がダッシュで、人を呼びに行く
直は保険医を
幸は美紀を呼びにいったようだ。
俺はただ、さなが起きるかもと
思いながら側につくしかできなかった
直が呼んだ保険医に
「ただの、脳震盪(のうしんとう)だ
一応起きたら連絡しろ。」
っといわれて、安心しつつ
指示どうりバスまで抱えて連れていく。
そっと、一番後ろの座席に寝かせる。
なんで、こけたとき直ぐに支えれなかったんだ?
凄くやるせなさに襲われる
仲間になるかもしれねぇのに。
そうだ。必死なのは仲間だから心配なんだろう。
別に、さなが特別なわけねぇ・・・よな?
にしても、仲間守れねぇで総長なんていえねぇよな。
思いがぐちゃぐちゃする。
なんで、さなにこんな必死なんだ?
ほんとに仲間だからか?
わからない。
心を落ち着けるため一人
自動販売機まで、軽く走りにいく。
なんで、あんなに頑張って走ったんだ?