【完】翼龍 ヨクリュウ ~あたしとクールで腹黒な総長と~

ごまかすように、スタスタと歩く


周りから、ジロジロ見られているのが分かるが


気にする余裕もねぇ。





さなを抱えたまま


昼食をとる食堂についた





「着いたぞ。」


と、そっとさなを降ろす。


「あ、ありがと」




ほとんどの人は、弁当なので

食堂には、生徒は少ない。


よかった。ここに幸や直が居なくて。


ぜってー、からかわれるからな




そして、照れを隠すように黙ったまま先を前を歩く


俺を小走りに追いかけてくるのが分かる



・・・ヒヨコみてぇだ。




チャラン


ドアを開けるとチャイムと

「はーい。いらっしゃーい」

と、元気なおばちゃんの声が聞こえる




「何にする?」


メニューを


さなにむけてやる。


さなは、意外そうな顔をして

でも嬉しそうだ。


姉貴にいつもレディーファーストで見せろって言われてたが


こんなところで役立つとはな



「でも、いま あたしお金もってきてないよ?」


いま気づいたのか困ったように言うさな。

困った顔も、いいな。



「気にすんな 

奢るから、好きなの食え」


しかも気にすることなんかねぇのに。

こういうのは、奢るもんだろ?




「ずるい」

「は?」


何なんだ?

意味わかんねぇ

なにがずるいんだ?


「なんでもなーい

じゃあ、これ」


ごまかしたな。

まぁ、いいか。




「わかった


すみません」



と注文した。











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