【完】翼龍 ヨクリュウ ~あたしとクールで腹黒な総長と~


料理を待つ間、


話でもするか



と、思い俺は水を一口 口に含む、


そしてコップをおくと、

早速、話を切り出した。


「翼龍、入団試験の内容は 肝試しするぞ。

いいな。まぁ、拒否は認めねぇけどな。」



うん。肝試しくらいなら

こいつでも、参加しやすいだろ。


我ながら名案だな。




さなをみると、やたらと感心したような眼で見てくる。

もちろん、悪い意味でだ




「いま、なんか失礼なこと

 考えてなかったか?おまえ」


一応きいてみる。

困った顔をしているところから

察するに、変なことでも考えていたのだろう



「お待たせ しましたー」



とそこへ店員さんが 料理を持ってきてくれた。



さなは、気持ちをさっきので立て直したらしい。


「ちょっと、名前あるんですけど」


さなの“してやったり“

の顔が面白い

からかってみるか。


「さな」

「?」


「そう呼んで欲しいのか?


いいよ。さな。

俺のことも涼って呼べよ。」


驚きを隠せないさな。

見ていて面白い。

・・・からかいなら、恥ずかしくもなくイロイロできんだけどな。



「なんか、すみませんでした。

・・・でも、作り笑顔でも笑ってる方がかっこいいのに」


慌ててあやまってくる。

さな。


笑っているほうがカッコイイっか。

そんないつもブスッとしてるのか?俺



「冗談だ食えよ。」



そういって、食べるように促すものの


やっぱり気になる


俺、普段どんな顔してんだ?




俺も食べるか、っと箸を取ったとき


さなが、顔を歪めて


固まっているが見て取れた



「どうした?」


「ううん。なんでも・・・」


「うそだな」

なんで、痛そうにしてんのに

なんでもねぇんだよ


「気分悪いのか?」

言葉を重ねると諦めたように白状した。



「うん 実は箸が持てなくて

その、利き手痛めちゃった、みたいなの」




なんだ。

んなことか。



早くいえよ










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