コトノハの園で
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入社式、研修が終わると、即配属先のデパートに勤務。
確かに実践経験が一番身につく。けど、バイト時代とは違う責任感と仕事の種類は、慣れなくて忙しくて覚えることだらけで、あっという間に時間は過ぎていった。
そんな、あまり他ごとを考えなくてもいい日々は、心をそういう仕様へとさせてくれていって、案外助かってしまった。
お店の様子は、冬メインだったバイトの時とは違う気がする。
ゴールデンウィークは行楽に出かける人ばかりだと思っていたら、帰省土産や自宅用の品物を購入するお客様が想像以上に多くて驚いた。
「毎年この時期はもう暑くってね、正直苦戦するのよ」
ひとつピークを終わらせたあと、店長が教えてくれた。
「確かに。ここのところ涼しいですよね」
「続いてほしいわ。せめて涼菓が充実するまでは」
私が働くのはチョコレートを販売する会社だから暑さに弱い。クッキーなんかも扱ってるけど、主力はチョコだから大変。だから、もうすぐシーズンのお中元に合わせて、フルーゼリーが近日発売予定。
在庫チェックをする私の横では、今まさに届いたゼリーのサンプルを、甘いものが大好きな店長がうっとりした表情で眺めている。
まあ、私も他店の人たちも、お菓子売り場で働く人間は、大抵甘味好きなんだけど。