コトノハの園で
「深町さん、五月病にはなってない?」
ふいに、店長に心配をされてしまう。
「はっ、はいっ。でも私、焦ってばかりでミスも多くて……」
なのに、これ以上迷惑をかけてしまっていたら申し訳ない。……嫌だな、自分が。
「うーん、そうねえ、ミスはしないのが一番だけど、深町さんは二度目がないように心掛けてるでしょう? 大事なことよ。長所を誇れないのが悪い癖ね」
「癖……」
「自信のない顔はご法度。お客様にはハッタリも必要。自店の商品を薦めるのに、そんなふうだったら購入してもらえない。好きでしょう? うちのもの」
「っ、はいっ!」
わたしもよ、と店長も頷く。
「ちゃんと教え込むから、頑張りましょうね。――そろそろお昼休憩行ってきていいわよ」
「――ありがとうございます」
初めての職場が、この店長で、本当に良かった。
「いってきます」
他店でも新入社員の子がいて、彼女も同時刻に休憩だったらしく、私たちは一緒に社員食堂へ向かった。