コトノハの園で
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帰りの電車に揺られながらふたりでずっと考えていたけど、桜ちゃんの入学祝いは、結局、最寄り駅近くのファミリーレストランになってしまった。最後の意地として、何軒かある中ではランク上位の店は選んだんだけど。
「……ごめんね。そういえば、私も高いお店知らなかった」
「菜々ちゃん。ここは桜たちのお小遣いじゃ避けるとこだから嬉しいよっ。いつもは最安値のドリンクバーで粘ってるんだし」
「その優しさが心に沁みます」
注文を済ませたあと、桜ちゃんはたくさんの写真をテーブルに並べ始めた。
「わあっ、ありがとっ。今度は私も渡すからね」
「楽しみにしてるっ!」
あれこれ指差しながら笑い合う。こんな写真いつ撮ったんだろうというものもあって、それは香田さんの仕業だった。
「お姉ちゃん、こういう盗撮じみたの好きなんだよ~。家でもね、桜の白目の寝顔とか……」
「でも、構図とか凝ってるよね」
少し発見もあった。意識せず撮られた私は、予想以上にとぼけた顔をしてるんだということ。……ちょっと気をつけよう。
余計なことを考えてる間に写真は一旦片付けられていて、気づけば頼んだ料理が並べられていた。