コトノハの園で


こんな時に限って、月は最高潮に明るい。大きなおおきな満月だった。


真っ暗な中だったら、これでもかっていうくらい見つめられたのにと密かに悔しがる。わがままばかりな私の顔は見られたくないけど、森野さんが、今どんな表情でいてくれるのは気になってしまう。


ああでも、暗闇だったらそれも分からない、か。


耳元に唇を寄せられる。


「はい。でも、最悪ではないと思います。――そんな深町さんをとても可愛く感じる僕は、間違いでしょうか」


そうしてやっと、私を包む腕に力が加えられ、苦しいくらいに強く抱きしめてくれた。


愛しい恋しいと、絶えず流れ込んでくる想いは私のもの? ――いいえ。お互いの。


そんなふうにしてくれる森野さんになら、こんなふうに捻くれて答えてみても、きっと伝わるよね。


「はい――大間違いです」


私も背中に腕をまわす。


もう届いているとは思うけど、もっと伝わるようにと。


秘めたる恋はもうやめた。だって、こんなに愛しくて仕方がない。


望んでくれてるのに、逃すなんて大馬鹿だ。


「森野さんのことが、大好きです」


私も、たったひとりに欲を出す。









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