コトノハの園で
「――まあ、働きによる報酬ももちろんあったけど、嫌がらせが半分以上だったのよねー」
ごちそうさまと手を合わせながら、香田さんは白状だと自分から告白を始めた。
「だって、せっかくのデートを遅らせてまで森野さんの頼み叶えてあげたのよ。……でもそのデート、待ち合わせを五分遅刻しただけで、もうずっと嫌味ばかりだったのね。初めてのデートよ? だからもう別れちゃった。早期発見出来たから良かった。だからそこそこチャラね」
「すっ、すみませんでした」
「だから……森野さん。わたし良かったって言ったの耳に入りませんでした? 菜々ちゃんの話しかまともに聞くつもりないんですか?」
「いえっ、そんなことっ」
「ふふっ」
「ほらっ。菜々ちゃんにも笑われてますよ。今はまだ優しく見守られてますけど、そのうち見限られちゃうんですからねっ」
深町さんは、香田さんと僕の会話は姉弟のようだと、こうしてよく笑う。
「――」
僕はその姿を見て、つられて笑う。