コトノハの園で
4・ナカニワノキミにコウチャカクメイ
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世間は赤や緑が舞い踊り、幸せな空気漂うクリスマスイブ。
親友の家は自営業で、今日は絶対に休めない業種なものだからパーティーみたいなものは催さない。他の友人たちも、デートで忙しいと憎らしいことを言う。
数時間前まで予定のなかった私、家でゴロゴロしていて、弟から足でもっとゴロゴロ転がされながらテレビを見ていた私は――今は一転、浮かれ気分で街を歩く。
今だけ、いいでしょう?
もうすぐ、それは、隠さないといけなくなるんだから。居なくて、ぬか喜びになる結末だって充分承知してるんだから。
どっかお店でクリスマスの乾杯しない? 桜のためにいっぱいオシャレしてきてねっ! ――そんなお誘いの電話に感謝しつつ、いそいそと、私は桜ちゃんとの約束通り、待ち合わせ場所の図書館へ。
森野さんが出勤しているかどうかは知らないけど、今日はやめておこう……。
思ってた。
まるで、天使の羽が背中で揺れてるみたいな感覚。舞い上がりながら、私は歩道を跳ねた。