コトノハの園で
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道すがらの景色は、もうとっくに日常へと戻っていた。
街は日常をこなすことに重点を置き、新しい年を祝う期間は終了したらしい、一月のまだほんの始め。
緊張の糸を全身に張り巡らせながら、私は図書館へ向かう。
「……、――」
一度立ち止まり、目を閉じる。
館内に姿はなかったから、この角を曲がった先にいるか、もう、私が見つけられない場所にいるかのどちらか。
覚悟して歩き出す。
もう中庭。
ベンチが、見えた。
――
……
「……、そっか」
そこには、誰の姿もなかった。
「うん……大丈夫」
私は、大丈夫。