コトノハの園で




 ―*―*―*―*―*―


道すがらの景色は、もうとっくに日常へと戻っていた。


街は日常をこなすことに重点を置き、新しい年を祝う期間は終了したらしい、一月のまだほんの始め。


緊張の糸を全身に張り巡らせながら、私は図書館へ向かう。


「……、――」


一度立ち止まり、目を閉じる。


館内に姿はなかったから、この角を曲がった先にいるか、もう、私が見つけられない場所にいるかのどちらか。


覚悟して歩き出す。


もう中庭。


ベンチが、見えた。


――


……


「……、そっか」


そこには、誰の姿もなかった。


「うん……大丈夫」


私は、大丈夫。


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