コトノハの園で
5・ユリカゴノキミにインセキ
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森野さんと私は、イブの日のことなどまるで何もなかったみたいに過ごす。
でも覚えてる。
ふたりとも、意識を持ってそうしてる。
そう――それでいいんだ。
「森野さんは、どうして彼女が欲しいって切実なんですか? ――別に、女嫌いなら、それはそれで一生過ごしていけばいいのではないかと」
「…………」
「前から気にはなっていたんです」
「なんだか……深町さん、雰囲気変わりましたか?」
仮に私が変化をしていたとして――それを見極められるくらいには、余裕を持てるようになってくれたのかな。
だったら嬉しい。
「そうですか? もう、隠すことないからなのかな。森野さんに警戒心抱かせないように、とは気をつけていました。色々と。――あっ! 普段が派手な風貌と私生活ということではないですよっ」
「いっ、いえ。外見がどうのとかではなく。それと、ひとつ訂正をさせてください。僕はそこまでへなちょこではありません。……でも、女性はやはり恐ろしいですね。範疇外の行動が多い」
その通りだから、笑うしかなかった。