コトノハの園で
7・サイゴのコトバ
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三月。
今日は、卒業式。
「エエーッ、菜々帰るのっ!? お茶とかしてこうよ。最近どころか、ずっと忙しいって遊んでくれなかったから寂しいじゃんっ」
「ごめんごめん。今までもごめんって。でも今日もやっぱりちょっと……。けど、自分だって彼と待ち合わせでしょうよ。そんなんじゃ、私そのあと寂しくなるもん」
「え~っ、そんなぁ。幸せ分けたげる」
「……ちょっと、さっきから分け与えられてるあたしは、そこに幸せを感じてないけど? 寧ろ心が吹きすさぶわ……」
「そんなことないもんっ」
「とりあえず別の日にね。バイバイ」
幸せそうにはにかむ友達や赤い目の親友と別れ、私は最後の図書館へ。
駅の改札を抜けると、いつもと同じ景色、道のりなはずなのに、示される方向だけ違って見えた。陽光までもが初めての注ぎ方をしてる。光の間を飛び交うほこりも、今日は気ままな妖精みたい。
「――なぁんてね」
ずいぶんと私も詩的になったものだ。
けど、そんな自分も好き。
そして、
「――ありがとう」
こんな私を与えてくれたことに感謝をする。
あの人に、ありがとう、と。