非リアな僕ら
「んじゃ、帰るか。」
ホテルから出て、そのまま現地解散にしようと先輩は思っているらしいです。
「先輩、お兄さんに私がお礼を言っていたとお伝えください。」
「いいっていいって。あいつ稼いでるし。つか、お返し忘れてた。はい、これ。」
「ありがとうございます。」
「大事に大事に食べろよ。」
「分かりました。ありがとうございます。」
「帰るか。んじゃな。」
そう言って、私に手を振って歩いていく先輩。
「…先輩‼︎あの本当に申し訳ないんですが…。」
「お前、そんなに払ってもらったことに…」
「そうじゃなくて!私、ここから帰れません。」
先輩がずこっ、とこける。
だってここ来たことないんですもん。
「あー、うん。すまんな。うん。ごめん。んじゃ家まで送るわ。」
「いえ、駅までで大丈夫です。」
「遠慮なんてお前らしくねぇな。ほら、さっさと行くぞ。」
「…はい‼︎」