非リアな僕ら
若いっていいですね。
「あの、えと、僕、立花蒼って言うんですが…高木さんに惚れました!!弟子にしてください!!!!」
「はい?」
部活に行こうと思ったら、目がくりくりして、背がちっちゃめの、多分一年生に話しかけられました。
残念ながら、私は高木ではありませんし、そんな名前の人聞いたことありません。
といいますか弟子???
「あ、すみません。言葉足らずでしたよね。僕、この間の劇で蘭木先輩が演じた高木さんの行動や、格好良さに感動して、あと、その、僕もそんな風になりたいなぁ、て思いまして…出来れば弟子にしていただきたいな、と。」
あ、高木さんってその高木さんでしたか。完璧に忘れてましたわ。
男の子にそういってもらえるなんて嬉しいことこの上ありません。
「ありがとうございます。自分が演じた役がそんなに言ってもらえるなんて嬉しいです。でも、私としては人に何かを教えるの苦手なので、弟子とかはちょっと…。」
それにこの子は私じゃなくて、私が演じた高木さんが好きな訳ですよね。
そしたら、私から学べることは何もないかと…。
「そんなぁ…。」
しおれて今にも涙が出てきそうな立花くん。
し、しっぽを垂らした犬が見えます…!
「あのですね、立花くんが嫌という訳ではないんですよ!でも、私は弟子とかをとる器じゃないんです。」
「そうですよね。急に言われても困りますよね…。」
ええー、もうどうしましょう。
うぅーー
「分かりました!弟子は無理ですけど、高木さんみたいな役を演劇部に入ってくれたら私が教えます!!それじゃダメですか?」
立花くんの顔がパッと明るくなる。
目が、目が眩しいです!
「はいっ!!僕演劇部に入ります!蘭木先輩、これからよろしくお願いします!!」
げ、元気ですね…。