大嫌いなアイツの彼女になりました。









「おい、双葉っ!」


「うるさい!だってこの人、お兄ちゃんのこと好きそうじゃないんだもんっ」


 ドキッと、心臓が嫌な音を立てた。


 双葉ちゃんの勘の鋭さは今も健在のようだ。

 きっと双葉ちゃんは当てつけで言ったんだろうけど、望月相馬への気持ちがないことを見抜かれている気がして少し怖い。



「ねえ、どうなの!!」


「っ……え、っと」

 双葉ちゃんの言ってることが全部合っているため、否定できず言葉を濁らす。



 そんなあたしに、双葉ちゃんはもっと怒る。

「なんで答えないのっ!」


「いい加減にしろっ!純香ちゃんが困ってるだろ」

 望月相馬もキレ始めた。


 ここはお店なのに、二人ともそんなこと忘れているようだ。


 どうしようかな……と他人事のように考えていると、

「お兄ちゃんのことが好きなら、勝負よ!」


「……えっ?」


 突然、双葉ちゃんは意味の分からない発言をした。



 勝負?

 あたしには、何を言っているのか全く理解できない。



「あたしと勝負してあんたが勝ったらお兄ちゃんと付き合うの許してあげる!その代わり、あんたが負けたらお兄ちゃんとは別れること!いい!?」


「え、ちょっと待っ……」


「そうね……キーホルダーも勝った方が貰うことにするわ!日にちは今週末!場所はあたしの家で!!1時には来ることっ」



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