大嫌いなアイツの彼女になりました。
意味が分からないまま何故か進んでいく話に、あたしは追いつけない。
「双葉、お前勝手すぎ!」
望月相馬も必死に双葉ちゃんを止めるが、双葉ちゃんの暴走は止まらない。
「先に言っておくけど、ビビろうと用事があろうと、来ないのも負けだから!お兄ちゃんと付き合いたいのなら、根性見せることねっ!」
双葉ちゃんは、あたしをもう一度キツく睨んだ。
「え、ちょ……」
「双葉ーーっ!どこー?」
反論をしようとした時、どこからかそんな声が聞こえて双葉ちゃんはあたしから目を離した。
「あ、なーちゃんだ。もう行かないと」
双葉ちゃんはそう独り言を呟くと、もう一度あたし達の方を向く。
「お兄ちゃん、じゃあまた後でねっ♪あと、あんた!絶対約束守ってね!あたしが勝ったら、お兄ちゃんもこのキーホルダーもあたしの物なんだから!あたし、負けないからっ!!」
双葉ちゃんはあたしに釘を刺すことも忘れずそう言うと、キーホルダーを持って友達がいると思われる方向に走り去って行った・・・
「……なんだったんだろうね、今の」
あたしは双葉ちゃんが去って行った方を見ながら、ははっと乾いた笑い声を出した。
「……本当に、ごめんね。双葉、自分勝手な奴なんだよ。純香ちゃんの気持ちも考えずに暴言吐いて……」