大嫌いなアイツの彼女になりました。
そんな疲れたような声が隣から聞こえ、そちらを見ると、望月相馬も困ったような表情をしながら頭を掻いていた。
あたしはそんな望月相馬を見て、苦笑いする。
望月相馬はあたしの顔を見ると、何かを思い出したように、
「あっ、バイト忙しいと思うし、週末、来なくていいから!別に双葉に認めてもらわなくても俺は純香ちゃんと別れる気なんてないからさ」
と言った。
だけどあたしはニコッと微笑み、
「ううん。行くよ、週末。丁度土曜日、バイト休みなんだよね」
と言う。
実は、さっき双葉ちゃんに言われたことが、あたしの怒りスイッチを押していたのだ。
あたしのこと忘れてしまっているくせに、自分の方が可愛いだとか、望月相馬に似合わないだとか、認めないだとか、勝負しようだとか、ビビってるだとか、根性見せろだとか……
自分勝手にも程があるでしょ!
今も我が儘な性格が直っていないなんて驚きだけど、今のあたしは昔のあたしとは違う。
双葉ちゃんに振り回されるばかりなんて、気に入らない。
本当は放っておいてもいいんだけど、それで「負けた」なんて思われたくない。
それに、ここで勝負を受けないのも「本当にそれでも彼女?」って双葉ちゃんに言われそうだし。
望月相馬だって、口ではそう言いながらも、勝負を受けなかったら不信感を抱くかもしれない。
それに、キーホルダーも取り返さないといけないし!
全ては復讐のため、やるしかない。
それに、双葉ちゃんには勝てる気がするんだ。
「ほら、あたしも相馬くんの家族に認めてもらえないまま付き合うのは気が引けるし」
そう言って、望月相馬に微笑みかける。
「そう……?」
望月相馬は少し不安そうだ。