大嫌いなアイツの彼女になりました。
運動と勉強なら、双葉ちゃんと勝てるという絶対的自信がある。
「……本当、ごめんな。双葉の奴……」
「ううんっ!楽しみだよ♪」
あたしは胸の前で小さくガッツポーズを作った。
二人で歩くこと10分。
望月相馬の家に着いた。
望月相馬はあたしと遊んだことも忘れているから知らないフリをしたけど、本当は望月相馬の家を知っている。
久しぶりに見た懐かしいこの家は、何も変わっていないようだ。
「……親は、いないから」
玄関のドアに手を掛けた望月相馬は、少し面倒臭そうにそう言った。
多分、双葉ちゃんが家で待っているから憂鬱なんだろう。
確かに、あの状態が今日一日ずっと続くのは嫌だな。
「そっかぁ」
なんて軽く言うけど、実は少し安心している。
望月兄妹はすっかり忘れているようだけど、二人の親とも顔見知りだから、もし会ったら…と危険を感じていたんだ。
でも、いないのなら、安心して勝負できる。
「……じゃあ、入るよ」
緊張した面持ちの望月相馬が、あたしを見てそう言う。
あたしも緊張してドキドキと速い脈を打つ胸を押さえながら、「うん」と頷く。
そして、それを確認した望月相馬は、ゆっくりとドアを開けた・・・