大嫌いなアイツの彼女になりました。





「…………。」


 俺は驚きのあまり何も言えなくて、ただじっと直樹を見つめた。



 そんな俺に直樹は、

「……はぁ。何?」

 冷たい視線を送った。



「……最低だろ、お前」

 自然と出てきた、本音。



 その言葉を聞いた瞬間、直樹は眉をピクッと引きつらせた。


 だけど直樹は馬鹿にしたようにふっと笑って、

「お前には言われたくないな」

 と言った。






 ……プチって、何かが切れる音がした。




「はっ?何言ってんの?」

 俺は直樹の胸倉を掴むと、強引に引っ張った。


 引っ張ったから、直樹が立ち上がる。




 直樹は変わらず、俺を酷く冷たい瞳で見つめた。

 そして、たった一言。


「本当に最低なのは、どっちだよ。……ずるいんだよ、お前は」





 ……一瞬、その言葉の意味が分からなかった。



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