大嫌いなアイツの彼女になりました。







 だけど、直樹の瞳はあまりにも強く、言葉の意味を全て理解した時、俺の心に突き刺さった。




 俺の手から、力が抜けていく。


 俺の手が直樹から離れた後、直樹は乱れたシャツの襟を整える。




 俺は、驚きを隠せない。

 けれど、ちゃんと理解していく。


 直樹は、全部知っていたんだ。

 全部、全部。



 さっきの威勢の良さとは対照に、俺は呆然と立ち尽くす。


 ……何も、言い返せなかった。






「…………。」


 ただ、今は直樹が全て知っていたことに驚いている場合じゃない。





 ……行かなきゃ。純香ちゃんの所へ。





 そう思った俺は、直樹に、

「……ごめん」

 とだけ告げて、勢いよく教室を出て行った。






 校内を走り回りながら純香ちゃんを探す。

 純香ちゃんが無事であるようにと、祈りながら。





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