大嫌いなアイツの彼女になりました。






 そして山口さんを真っ直ぐ見つめると、

「今すぐ、ここから消えて」

 小さく、低い声でそう告げた。



「えっ………?」


 突然、望月相馬が暴言を放ったのだ。

 山口さんは意味が分からないとでも言うように、望月相馬を見つめる。



「早く、消えて。邪魔なんだよ。五人で純香ちゃん一人に寄って集ってさ、惨めだと思わねえの?」

 今度ははっきりとした口調でそう言った望月相馬。


 山口さんは目を見開いた。



 あたしも、驚いていた。


 だって、望月相馬にも聞こえていたはず。

 「大嫌い」っていう言葉が。


 なのに、望月相馬は何故かあたしを庇うようなことを言ったのだ。


 誰だって、驚くだろう。



「……俺の純香ちゃんいじめるなんて、許さないよ?男だったら完全に殴ってるレベルだから」

 それなのに、望月相馬はどうしてこんなことを言うんだろう?



 ねえ、ちゃんと聞いていたよね?

 あたし、〝大嫌い〟って言ったんだよ?



「っ……!も、もう相馬くんなんて知らないもーーん!!」

 半分涙目でそう叫んだ山口さんは、そのまま走り去っていく。



「ちょっ、萌(もえ)--っ!」

 他の四人も山口さんの後を追って去って行った。







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