大嫌いなアイツの彼女になりました。







 そしてあたしの肩に少し手が触れた時、あたしは反射的に望月相馬の手を振り払っていた。




「っ……純香、ちゃん」


 望月相馬のその悲しそうな声に、唇を噛み締めた。


 胸が、苦しいよ。

 痛い、とても痛い。

 あたしのせいで、望月相馬は傷ついているんだ。





「………別れよう」


 苦しくて、辛くて、どうしようも出来なくなったあたしは、そう口にしていた。




「………え?」

 望月相馬の手がピクッと揺れたのが見えた。


 あたしはゆっくりと顔を上げると、望月相馬を見つめてもう一度、

「別れよう」

 と言った。




「な、んで……」

 望月相馬の瞳が、動揺で揺れる。




「……分かってるでしょ?あたし、あんたのこと、だい、きらいなの……」

 思わず、目を逸らしてしまう。



 でも、言わなくちゃ。


 あたしのせいで、望月相馬を傷つけてしまったのだから。

 別れることが、一番の償いだと思った。



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