大嫌いなアイツの彼女になりました。
気合を入れるように拳にぐっと力を入れた後、あたしは玄関のドアを開けた。
今日は、映画館デート。
これは、あたしの提案。
理由は、復讐のため。以上!
上映中にアイツがドキッとするようなことをして、もっと惚れさせる!
まあ、見る映画はアイツに任せてるんだけど、映画のジャンルごとにすることを決めているから大丈夫!
恋愛系なら、ポップコーンを取ろうとして手を繋ぐ。
ホラーなら、きゃーって抱きつく。
……ってことしか浮かばなかったんだけど。
でも今人気の映画は恋愛系とホラーなんだよね。
多分どっちかだろうし。
……なんて、簡単に捉えていたのが悪かったのかもしれない。
「純香ちゃん、こっちこっち!」
待ち合わせ場所に着くと、そんな大きな声に呼ばれた。
「あっ、相馬くん!」
あたしはその声の主に気付くと、笑顔を作ってそちらへ走って行く。
待ってるほうが惚れさすにはいいかなと思って早く来たのに……なんであんたが早く来てるの!
少しイラつきながらも、アイツには微笑む。
「じゃ、いこっか」
「うん!」