大嫌いなアイツの彼女になりました。








 あたしは目を見開いた。



「あー、ごめんっ!本当、空気読めねぇな…俺」

 そう言って、中川くんは恥ずかしそうに髪を掻き上げた。


 あたしは固まったように中川くんを見つめるだけ。



「……けど、本気だから。もし良かったら、デートしてくれない?」

 中川くんは、あたしを強い瞳で見つめた。




 だけど、どう返事をしたらいいか分からない。


 だって、告白されるなんて思っていなかったから。

 中川くんがあたしのことを好きだって思ってくれていることすら、知らなかったわけだし。

 それに、今あたしは望月相馬のことで既にいっぱいいっぱいなのだ。


 こんな状態で、いきなり中川くんとのことなんて考えられないよ。

 例えお試しでデートしたとしても、この気持ちに整理がつくとは到底思えないのだ。




 戸惑って何も言えずにいると、

「……とりあえず、考えてみてよ。デートするのも、付き合うのも、すぐに答えを出してくれなくていいからさ。俺、ずっと待ってるし」


 中川くんはそう言って、優しく微笑んだ。



 あたしはそんな中川くんの優しさに甘えて、コクリと頷いた。





 復讐とか、別れるとか、告白とか、デートとか、付き合うとか。

 一気に色々起こっちゃって、分からない。


 昨日、今日になればある程度落ち着くと思っていた。

 でも、もっと訳が分からなくなるだけだった……。





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