大嫌いなアイツの彼女になりました。
焦ったあたしは、
「ううん……いいよっ」
なんて言って右手を差し出した。
「……えへへ、やった♪」
俯いているからどんな顔かなんて分からなかったけど、望月相馬は隣で嬉しそうにそう言ってた。
手を繋ぎながら、ゆっくりとデパート内を歩く。
映画館は、今あたし達がいるデパートの中にあるんだ。
「……な、なんか静かだね」
「そうかな……?」
いきなり手を繋いだからだろうか。
あたし達の間には妙な沈黙が流れていて。
気を遣い合ったりして。
「もうすぐだよね、映画館」
「うん……楽しみだね」
「うん、そだね……」
はい、会話終了。
どうしようかなって思いながらチラッと望月相馬の顔を覗き見た時、望月相馬の後ろにおじいさんとその孫らしき男の子が見えた。
何故かその二人が気になったあたしは、そちらをじっと見つめる。
「おじいちゃん、これ買ってー」
「ん?なんだ?」