大嫌いなアイツの彼女になりました。







 男の子が指差したのは、今流行りのレンジャーもののオモチャ。

 なんだか可愛らしくて、あたしはつい立ち止まっていた。


 一緒に立ち止まった望月相馬は不思議そうに、

「どうしたの?」

 って聞いてくる。


「あれ」


「あれ?……男の子?」


 あたしが指差した男の子を望月相馬も見た。



「なんか、可愛いなって……小さい子って見てて和む」


「……ふぅーん」


 望月相馬は面白くなさそうにそう言っただけだった。


 きっと、あんたには分からないだろうけど。

 だって、あんたはこういう子を嘲笑いながら容赦なく傷つける人間だから。


 あたしとあんたは、正反対の世界にいる。

 あたし達の世界は平行じゃないけど、決して交わらない。

 重なることのない世界に住んでるんだよ。


 それを、後で思い知らせてやる。

 覚悟、しててね?


 気づかれないようにコイツを睨んだ後、もう一度視線を男の子に移した。



「分かった、買ってあげよう」


 おじいさんは笑って、男の子が持っているオモチャを受け取ろうとしゃがむ。

 ……その時、


「スルッ」

 音にしたら、そんな感じ。



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