大嫌いなアイツの彼女になりました。







「俺、こういうの好きなんだよな」


「あたしもだよ……」


 あたしもだから嫌なんだよ!

 泣いちゃったら計画台無しなんだよ!



「多分泣くけど、男らしくねぇなって思わないでね?」


「そんなこと思わないよ!」


 あたしはそう、全否定した。


 きっと、そんなこと思わない。

 だって、それどころじゃない。




 映画はすぐに始まるようだったので、あたし達はそのまま劇場に入った。


「楽しみだなー」


「そ、そうだね……」



 どう惚れさせようと思いながら映画が始まるのを待つ。


 やっぱ恋愛の時と同じように手を繋ぐ……とか?

 でもそんなの雰囲気的になぁ……

 きゃーって抱きつくシーンもなさそうだし……


 ……なんて、直前までずっとそんなことを考えていた。

 だけど映画が始まった瞬間、全て頭から抜けてしまった。












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