大嫌いなアイツの彼女になりました。




 このカフェはさっきいた映画館の隣にある。

 だから、あたし達の様に映画を観た後に立ち寄る人が多い。


 もちろん、あたし達と同じ映画を観た人もいるだろうけど、ここにいるほとんどの人が同じ時間に上映されていた恋愛系の映画を観ていたのだろう。

 その映画、もう1か月もランキングで一位を取ってるみたいだし。

 そしてその映画を観終わったカップルはほぼ100%イチャつきたくなると、テレビでやっていたしね。



「ほら、キミがスキっていう恋愛の映画だよ。多分それ観終わったカップルたちでしょ」


「ふーん……ねえ、もしかして純香ちゃんもその映画観たかった?」


「え?」


「いやぁ、純香ちゃんそういうのの方が好きだったのかなーって。なんも考えずに自分の観たい映画選んじゃったし……」


 望月相馬はそう、申し訳なさそうに言った。


 なにこれ、コイツにしては珍しい。

 人を気遣うなんて。



「いや、全然!むしろこっちの方が良かったし!それに、任せたのはあたしだもん」


 だからか、あたしも優しく微笑みながらそう答えた。


「そっ?なら、いっか」

 なんて安心したように言う望月相馬も優しく微笑み返す。


 そんなまるで恋人同士のような……いや、本当にそうなんだけど、甘い雰囲気に嬉しくなったり……



 って、ちっがーーう!!

 復讐だよ復讐!


 全部その計画の内なんだよ!

 なにあたし、ちょっと喜んでるの!?


 あたしはコイツに気づかれないように、首を横に振るとにっこりと微笑んだ。

 ……もちろん、その笑みはさっきとは意味が違うけどねっ!



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