大嫌いなアイツの彼女になりました。
まあ、意外と楽しくショッピングをしていた。
……異変を感じたのは、ペットショップから出ようとワンちゃんを見るためしゃがんでいた腰を上げた時だった。
急に、足の小指に凄い痛みが走ったのだ。
『……った』
『どうしたの?純香ちゃん』
『……あっ、いや、別にっ!』
瞬時にその痛みの正体に気付いたけど、不思議そうにあたしを見つめていた望月相馬にはあえて何も言わなかった。
……でも、あの時言っとけばよかったなんて、今更になって少し後悔。
望月相馬には気づかれないよう平静を装っているけれど、正直言ってもう限界。
新しい靴を履いたせいか、どうやらあたしは靴擦れをしてしまったらしい。
慣れない靴なんて履くもんじゃなかったな。
しっかし、痛いなぁ……。
早く帰りたい……。
あたしのほんの少し前を歩く望月相馬をそっと見つめながら、そう思った。
「次はどこ行こっかー?」
ふと、望月相馬がそう言いながら振り向く。
「…………。」
足が痛くてそれどころじゃないあたしは、その言葉を聞き流していた。
「……純香ちゃん?」
「…………。」
「おーい、純香ちゃーーんっ」