大嫌いなアイツの彼女になりました。
訳が分からないまま望月相馬の手を取ると、ぐいっと物凄い力で引っ張られ、あっという間にあたしは立ち上がった。
と思ったら、今度は宙に浮く。
「えっ!?ちょ、え……」
いや、正確には抱き上げられているというのが正解。
こんな公共の場でお姫様抱っこなんて……
は、恥ずかし過ぎるよーーーっ!
「お、降ろして!!」
「はいはい、降ろすから」
「今すぐ!」
「ちょっと我慢してね。ベンチないんだって」
胸をドンドン叩くが、望月相馬は一向に降ろす気配を見せない。
それどころか、どこかへスタスタ歩いて行く。
あたしはただ、ドンドンと望月相馬の胸を叩くことしかできない。
「あー、もう!危ないからしっかり掴まってて!」
だけどそれも、望月相馬にそう言われたことによって止めてしまった。
ただあたしは、望月相馬の首に腕を回ししっかり掴まりながら不服そうに頬を膨らませていることしか出来なかった。