大嫌いなアイツの彼女になりました。
しばらくして、あたしはやっと望月相馬から離れることが出来た。
でも、降ろしてもらえたのはベンチの上。
自然とベンチに座ったけど、何故座らせられたのか不思議で、望月相馬をじっと見つめた。
すると望月相馬は、あたしの右足を持った。
それは、あたしが靴擦れした方の足で。
「え………」
驚いて固まるあたしをよそに、望月相馬はヒールを脱がす。
そして靴下も脱がすと、露わになった足をじっと見つめた。
あたしも今初めて見たけど、小指は痛々しい姿になっていた。
皮が剥けている。
血も出ているようだ。
すると望月相馬はそこをそっと撫でる。
「っ……」
痛みが電気のように体中に走る。
「……あ、ごめん。ちょっと待っててね、すぐ帰ってくるから」
望月相馬はそんなあたしの顔をチラッと見た後、足をゆっくり下ろして立ち上がった。
「どういうこと?………って、ちょ!」
そんな声も遠く、望月相馬は走って何処かへ行ってしまった。
唖然としながらしばらく望月相馬が走って行った方向を見つめていたけど、やがて視線をゆっくり自分の足元に向けた。
「うわぁ……痛そう」
って、実際痛いんだけどね。