大嫌いなアイツの彼女になりました。
望月相馬はあたしがクロックスを履くまで、ずっと立ったままあたしを見つめていた。
「……よしっ」
あたしはクロックスを履くと勢いよく立ち上がる。
「っう……」
でも、いきなり立ち上がったからか足に痛みが走った。
「わっ、いきなり立ち上がったらダメだって!」
心配そうにあたしの肩を持つ望月相馬。
あたしはへへっと笑う。
望月相馬はそんなあたしを見ると、呆れた様に盛大なため息を一つ吐いた。
「……このヒールここに入れてね」
望月相馬はそう言って、きっとクロックスを入れていたのであろう袋をあたしに渡した。
あたしはその袋にヒールを入れて持つ。
「さっ、行こうか。足痛くない?」
「うん、大丈夫」
まだ少し痛むけれど、大分ましになったと思う。
そんなあたしを見て望月相馬は少し微笑むと、あたしの手を握った。
「えっ……」
あたしは驚いて顔を望月相馬に向けた。
望月相馬はあたしが驚いていることを知ってか知らずか、ニコニコ笑ったまま歩いて行く。
「…………。」
あたしは握られた手を見つめる。
でもすぐに顔を上げ、望月相馬と歩幅を合わせた。