大嫌いなアイツの彼女になりました。















 午後5時。

 夏真っ盛りだからか、この時間でも昼間みたいに明るい。


 二人が手を繋いでいる影が、あたし達の前に長く伸びている。




 今はあたしの家に向かっている途中。


 あれから色々楽しんだあたし達だけど、望月相馬はあたしの足を気遣ってか、早めに帰ることを提案した。

 更に、あたしの家まで送ってくれると言ったので、こうなった。




「……もうすぐだよ」


「そっか……なんか寂しいな」


「えっ?」


「ううん、何もない」


 少しずつ、あたしの家が見えてくる。


 ……寂しい、か。

 さっき少し驚いて聞き返しちゃったけど、あたしは決して望月相馬の言葉を聞いていなかったわけではない。


 あたしは、どう思ってるんだろう。

 寂しいって思ってるかな?


 ……なんて、考えるだけ無駄だ。

 あたしは今、望月相馬に復讐をしているんだから。


 望月相馬をもっともっとあたしに惚れさせなくちゃ。



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