大嫌いなアイツの彼女になりました。
抱きつく、なんてあたしらしくない。
でも、これで望月相馬があたしにもっと惚れるなら。
あたしは恥ずかしさを隠すように、ぎゅっと目を瞑った。
「……純香ちゃん?」
「ごめん、つい……」
なんていう、嘘も付け足して。
望月相馬はしばらく固まったように動かなかったが、ゆっくりと息を吸うと、
「……離して」
静かにそう言った。
あたしの体がピクッと揺れる。
ヤバい、これは効かなかったのかも。
一瞬にして恥ずかしさと望月相馬の低い声への恐さにあたしの心は包まれ、あたしはゆっくりと望月相馬から離れた。
望月相馬の顔なんて絶対見れなくて、あたしは俯く。
「ご、めんね……」
小さい声でそう言うと、あたしは帰ろうと踵を返す。
……でも、腕を強い力で引っ張られ、また望月相馬の方を向かされる。
そして、
「んっ……!」
いきなり頬を持ち上げられたかと思うと、唇に温かいものが触れた。
必死に抵抗しようと手を顔に持っていくが、その手も望月相馬の手に掴まれてしまう。