大嫌いなアイツの彼女になりました。
ただあたしは、ずっと望月相馬のキスに翻弄されるだけ。
……どうしよう。
少しずつ、恐怖に支配されていく。
だってあたしは、望月相馬のことを好きじゃないから。
このキスも、あたしの中では愛を確かめるものではなくて、ただ気持ち悪い行為にしか過ぎないんだ。
嫌だ、嫌だ。
必死に心の中で叫ぶけど、声に出なければ意味がない。
息が出来なくてもう意識が飛んじゃうかと思った時、望月相馬はやっとあたしの唇を離してくれた。
「ハアッ………」
あたしは胸を押さえた。
一生懸命呼吸をしていると、望月相馬に頭を撫でられる。
「……ごめん、苦しかったよね。でも、純香ちゃんが悪いんだよ?そんな可愛いことするから」
「……えっ?」
望月相馬の言葉に驚いて顔を跳ね上げると、望月相馬はニコッと笑う。
「じゃあね、純香ちゃんっ」
そして望月相馬はそのまま去って行った……。