大嫌いなアイツの彼女になりました。






「……ぅうーー!あー、もうっ」


 あたしは言葉にならない感情を叫んで、靴を脱いだ。

 そのまま玄関のフローリングの床に座り込む。


 自分が自分じゃないみたいな感覚にあたしは戸惑ってしまって、立てている両膝の間に顔を埋めた。




 ……その時、

「ピコーンッ」

 空気の読めない音が鳴って、あたしは携帯を持った。


 落ち込みながら携帯の画面を見ると、

<純香ちゃん、連絡ちょうだい>



「……っ」

 どうやら空気が読めないのは、携帯の音だけじゃないようだ。




 望月相馬はこんな感じで、何度もメッセージを送ってきている。


<ねえ、今度会おうよ>

<どうしたの?忙しいの?>

<返事待ってるからね>

<俺、なんかしちゃったかな?>

<教えてくれないと分かんないよ>

<お願い、返事だけでもちょうだい>


 とまあ、こんな感じ。


 返さないと……って思うけど、なんて返せばいいのか分からない。

 だから既読スルーという酷いことをしているわけだけど。



「……どうしよう」


 このままじゃ、自然消滅ってのもあるかもしれない。

 そうなったら、復讐できないのに。



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