大嫌いなアイツの彼女になりました。






「よぉ、おはよう。椎名」


 担任が右手を上げ、微笑んだ。



「お、驚かせないでくださいよ」

 まだドキドキと速い胸の鼓動を抑えるように胸に手を置きながら、小さな息を吐く。



 だけど担任は、ははっと軽く笑う。


「……そうだ、そんなお前に頼み事があるんだが」

 けれどすぐ何かを思い出したようにあたしをじっと見つめた。



「何ですか?」


「ほら、お前って成績学年一位だろう?」


「え?…ああ、まあ」


 確かにそうだったかも……と一学期のことを思い出す。

 何故か入学した時から学年一位の成績で、今年の一学期の中間テストも期末テストも一位だった。


 でも、はっきり言ってそれはまぐれだと思うんだよね……。


 そんな風に思いながら担任の顔を見ていると、

「だからさ、今日の始業式で生徒代表のスピーチしてくれないか?」

 担任はさらっと、そう言った。



「……は?」

 一瞬何を言っているのか理解できなくて、聞き返した。




「だから、生徒代表のスピーチよろしく!って」


「あ、あたしがですか?」


「もちろんっ」


 担任の笑顔があたしの癇に障った瞬間だった。




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