大嫌いなアイツの彼女になりました。









「……それでは次に、生徒代表のスピーチです。代表者はステージ前まで来なさい」


 教頭のその言葉を聞いて、あたしは動きたくない気持ちを必死に堪え、クラスの列から外れた。


 生徒代表のスピーチは各学年一人ずつらしく、順番はまさかのくじ引き。

 そのせいで、あたしは運悪く一番最後になってしまった。



「えー、僕は夏休み……」

 一年生が壇上に立って喋り出す。

 みんな静かに彼を見つめていた。


 これがあたしの時もかと思うと、心が痛くなる。








 だけど時間ってのは止まってはくれないもので。

 あっという間にあたしの番になった。



「……では次、二年、椎名純香」


「……はい」


 あたしは用意されていた椅子から立ち上がって、ステージの階段を上る。

 そして壇上の所に立つと、見ちゃいけないと思いながらも体育館全体を見渡した。



「っ……」

 やっぱり見なければよかったと、すぐ後悔した。

 だってあたしの緊張はさっきよりも大きくなってしまったから。


 あたしはゆっくりみんなに気付かれないように深呼吸をした。



 そして喋り出そうとした時、

「ガラガラーッ」

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