大嫌いなアイツの彼女になりました。
「……もしかして、キスしちゃったから?」
「っ!」
ピクッと体が揺れる。
望月相馬のまるであたしの心を読んでいるのかのような問いかけに、一気に顔が青ざめていくのが分かった。
望月相馬もあたしの反応が明らかに可笑しいことに気付いたのだろう。
「そっか……」と小さな声で言った後、
「純香ちゃんって意外とピュアなんだね?」
と言って笑った。
予想外の反応に、あたしは目を見開いた。
ピュア?
それだけ?
ってか、今笑ったよね?
あたしにとっては結構大きな悩みなんですけどっ!
流石に空気の読めない言葉にムカついて、あたしはキレ気味に顔を思いっきり跳ね上げる。
「ちょ、笑わな……え」
怒鳴ってやろうかと口を開いたけれど、望月相馬の顔を見てすぐに言葉を詰まらせてしまった。
だって、だって。
望月相馬のこんな悲しそうな顔、見たことなかったから。
「……ごめんね、つい止まらなかったっていうか…もう、しないから。だから、俺のこともう避けないで」
望月相馬はそう言うと、あたしの頬に触れた。
思わず体がビクッと揺れたけど、その手を振り払うことは出来なくて。
あたしは望月相馬の瞳を吸い込まれるように見つめていた。