大嫌いなアイツの彼女になりました。
けれどいきなり隣から聞こえた声に、体をピクッと揺らす。
「え……?」
そしてゆっくりと声の方に視線を向けると、隣の席になった中川直樹(なおき)くんがあたしを見ながら微笑んでいた。
「……あ、えっと…なに?」
「これから、よろしくね。純香ちゃん」
中川くんは優しく笑って白い歯を少しだけ見せた。
正直言って、この人は苦手だ。
茶髪だし耳にピアスついてるし、制服からはパーカーのフードが出てるし。
カッコいいけど、ヤンキーの部類に入ると思う。
でも、だからって無視しちゃったらこれから気まずいし。
「……うん、よろしくね」
あたしはニコッと笑って見せた。
「……純香ちゃんってさ、相馬と付き合ってるんだよね?」
中川くんは話を続ける。
そう聞かれなんで知っているのかと少し驚いたけど、始業式の後望月相馬があたしの教室に来たことを思い出し、すぐに頷いた。
それに、この質問はもう四日、嫌なほどされているからってのもある。
まあ、違うなんて否定しても信じてもらえないだろうし。
っていうか、付き合ってるのは事実だから否定するのも可笑しいし。
だから、全部頷いていると、学年中……というか学校中に広がってしまった。
「俺さ、相馬とは中学からの付き合いなんだ」
「……えっ?」