大嫌いなアイツの彼女になりました。




 その言葉を聞いたあたしは、自分の手の中にあるマグカップをじっと見つめた。


 そんなあたしの表情を見たみおは何かを察したのか、ソファに凭れかかって腕を組み、

「……無計画な奴め」

 と言って豪快に笑う。


 あたしはそんなみお見ながら、つくづく酷い友達だと思った。



「だってー、どうしたらいいのか分かんないんだもん。」


 あたしはマグカップを机の上に置いて、ソファに凭れかかって両手両足を大きく広げて伸ばした。



「こらこら、女の子がそんなはしたないことしない」


 そう言うみおも、女の子を語れる性格ではない。

 サバサバしていて物事をはっきり言う、どちらかと言うとカッコいい性格。


 なのに、こういうことに関しては結構厳しい。

 あたしとは正反対で、オシャレとかメイクとかすごいこだわっているんだ。



「……ま、あんたは恋愛に関しては子供だからね」


「なぁ!」


 あたしは勢いよく体を起こしてみおを睨んだ。


 みおはそんなこと気にもせず、

「だってそうでしょ?一応言っとくけど、あんたの初カレ望月相馬だからね」


「わ、分かってるよ!」


「復讐のために初カレを嫌いな人にするなんて、あたしなら絶対無理!」


「……べ、別にあたしはどうでもいいもん」

 とか言って強がりながらも、望月相馬が初カレということを初めてきちんと理解し、少し気持ちが落ち込む。


 初めての彼氏は結構大事だと思う。

 でも、「見返してやったぜ」っていつか言えたら、別にそれでもいいかもしれない。


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