大嫌いなアイツの彼女になりました。





 背も高くなって、声も低くなって。

 大分大人になったけど、面影がしっかりと残っている。



 ……望月相馬(もちづきそうま)。


 小学校の頃の同級生。

 そして、五年生の間ずっとあたしをいじめていた奴。


 六年に進級したのと同時に転校したからその後会うことはなかったけど、まさかこんなところで再会するなんて。






「……まあ、いいや。んんっ……初めましてっ!俺ね、望月相馬っての。よろしくねん♪」


 彼がそう、微笑みながら手を差し出した。

 あたしは驚く。



 初め、まして?


 待って。

 待って。


 あたし達、初めましてなんかじゃないよ?

 とぼけているの?



「可愛いからさ、ちょっと仲良くなりたくて」

 彼はへへっと照れ臭そうに笑う。


 ねえ?

 嘘でしょ?

 また、冗談言ってるの?

 からかってるの?



「名前、なんて言うの?」


「……椎名純香(しいなすみか)です」


「へぇー、可愛い名前だねっ」


 信じられない。

 この名前ね、小学生の時は「隅っこばっかにいるから〝隅香〟なんだろ?」なんて言ってからかってたんだよ?

 それを、可愛い?


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