大嫌いなアイツの彼女になりました。





「あ、あの……覚えてませんか?あたしのこと」


「え?俺ら、初めましてじゃないの?」


 少しだけ、期待してたんだ。

 散々傷つけたんだから、アイツも覚えているって。



 ねえ、なのにどうして?


 からかうだけからかって、傷つけるだけ傷つけて。

 放っておいてって思うほどいじめてきたのに。


 今はもう、記憶の片隅にも置いてくれていないなんて。

 あたしって結局なんだったのかなって思っちゃうよ。



「……同じ小学校だったよ」


「え、同じ小学校だった?」


「うん……まあ、すぐ転校したし、覚えてなくても当たり前なんだけど……」


「へぇー……ごめん、覚えてないわ。」


 胸が痛んだ。


 いつだってそうだ。

 アンタの言葉は、あたしを傷つけることしか出来ない。



 散々いじめておいて。

 散々傷つけておいて。


 なんなの、本当。



 助けてくれて、優しくなったのかな?なんて一瞬でも思ったあたしが馬鹿だった。


 あー、ムカつく。

 殴ってやりたい。


 必死に平静を装うのが精一杯だ。

 少しでも油断したら、気持ちが爆発しそうだ。


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