大嫌いなアイツの彼女になりました。





 気持ちが動きそうだった。

 ダメだ、また裏切られるだけ。


 必死に高まる胸の鼓動を抑え、平静を装う。

 自分を取り戻すかのように、何度も言い聞かす。


 ー-これは、復讐だ。


 そして、望月相馬に微笑みかけた。
























 それから、あたし達はあたしの行きたい所に向かった。



「ここ……?」


「うんっ♪あー、楽しみ!」

 あたしは満面の笑みで列の最後尾に入る。

 ジェットコースター並みではないけど、ここも結構人気みたい。


 期待と楽しみでウキウキしているあたしとは対照に、隣にいる望月相馬は顔を引きつらせながら建物をじっと見つめている。


 その建物は、廃墟のようにボロボロになっていて所々血のような赤い染みがついている。

 そんな恐怖をそそるデザインがあたしの好奇心を掻きたてる。


 建物からキャーキャー叫びながら出てくる人たちを見ていると、早く入りたいって思って逸る気持ちが爆発しちゃいそうだ。



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