大嫌いなアイツの彼女になりました。
そんなあたしを、望月相馬は変人を見るような目で見つめた。
「……純香ちゃんって、ジェットコースターは苦手なのにお化け屋敷は好きなの?」
「うん!ほら、お化け屋敷は動かないし」
「で、でも……怖くない?」
「全然!だっているの人間だもん。演技とか格好とかすごいじゃんっ」
徐々に興奮していくあたし。
早く入りたいなと思いながら列の前を覗くように見つめる。
「そ、そう……」
右手に伝わる望月相馬の熱が無くなっていくように感じて望月相馬の顔に視線を移すと、その顔は強張っていた。
本人は笑顔を作っているつもりなのかもしれないけど、口元が小さく上がっているだけで目は恐怖で満ちている。
……もしかして、怖いの?
そう感じて、ふふっと笑った。
望月相馬がこんなに怖がっているのを見るのは初めてだ。
可哀相だけど少し面白くて、気付いていないフリをして列から外れることはしなかった。
そして、ついにあたし達の番に!
「それでは、行ってらしゃい」
ボロボロの服を着てお化けの格好をした従業員さんが小さな声でそう言った。
きっと、恐怖をそそるためだろう。