大嫌いなアイツの彼女になりました。
「さあ、行こう!」
隣で何やらブツブツ呟いている望月相馬の手を引っ張り、建物の中へと入って行った。
------------------
「わぁっ!」
「うわっ!」
このお化け屋敷は人が沢山出てくるみたいで、さっきから足を掴まれたり脅かされたりしている。
そしてその度に、望月相馬はお化け以上の声を出して驚いている。
あたしの手をぎゅっと握って離さないし、何も無い時は必死に平静を装っているのも面白い。
あたしはそんな望月相馬の反応を見てくすくす笑っていた。
ジェットコースターではあんなに楽しんでいたのに、めっちゃ怖がってる……。
そう思うと、思わず口角が上がるのだ。
「お化け、苦手なの?」
とあたしは意地悪で望月相馬にそう訊ねた。
望月相馬は髪を掻き上げ、
「別にー?」
余裕だよ、と笑って見せる。
でも、一歩踏み出した瞬間、
「う、わあっ!!」
いきなり、望月相馬は今までで一番大きな声を出してあたしに抱きついてきた。