大嫌いなアイツの彼女になりました。






 その後、あたしは全く怖くないのに、何故か望月相馬はあたしを守るように歩いていた。

 手をぎゅっと固く繋いで、お化けが出てくる度にあたしを自分の後ろに置いた。


 正直、それじゃお化け屋敷を楽しめないと思う。

 でも、自分はすごいビビっているくせにあたしを守ろうとしてくれている姿は、まあカッコ良かった。





「あーっ楽しかった!」


 5分後、お化け屋敷から出て来たあたし達。

 ニコニコ笑いながらうーんっと背伸びをするあたしと後ろで心臓の辺りを押さえている望月相馬。



「こ、怖かった……」

 そんな声を背中で聞いて、ふふっと笑った。




「本当、怖がりだね~」


「なっ!全然だったし!」


「じゃあ、もう一回入る?」


「うっ………」


 顔を歪めた望月相馬を見て、勝ったと思った。



「ははっ、じゃあ次は二人とも大丈夫な所に行こっか」


「だーかーらーっ!俺、お化け屋敷全然苦手じゃない!」


 少し前を歩くあたしの後を走って追ってくる望月相馬。

 そして隣に来ると、あたしの顔をじっと見つめながら不服そうにそう言った。


 あたしはただ軽く笑い返すだけ。

 望月相馬はそんなあたしを見て、「信じてないでしょー」なんて言った。







< 90 / 203 >

この作品をシェア

pagetop