大嫌いなアイツの彼女になりました。
「っていうか、お兄ちゃんなんでここにいるのー?」
まるであたしの存在を忘れているかのようにラブラブな二人を後ろから眺めていると、突然双葉ちゃんがそう言った。
あたしが間にいないからか、二人は恋人かのように近い距離にいて、双葉ちゃんは望月相馬の手をぎゅっと握っている。
だけど望月相馬も嫌がる様子はなく、双葉ちゃんに優しく微笑みかけていた。
確か、昔から二人はこんな感じだったな。
まさか、今でもとは思わなかったけど。
双葉ちゃんは昔から望月相馬のことが大好きだった。
だからいつも望月相馬の後ろについてたし、何するにも一緒って感じだった。
なのでもちろん、あたしと遊ぶ時も3人の方が多かった。
望月相馬はそんな双葉ちゃんを嫌がることなく、むしろ嬉しそうにしていた。
世に言う思春期なのに、よく変わらないなぁ。
「ああ、今デート中なんだ♪」
「えっ!?お兄ちゃん、彼女いるの?」
双葉ちゃんの表情が変わる。
うわー、これは嫉妬だよ。嫉妬の目だよ。
絶対怒ってるよね。お兄ちゃんラブだもん。
だけどそんなこと知りもしない望月相馬は、満面の笑みで振り返りあたしを見る。
「え……っと」
そして望月相馬があたしの手を引っ張ってあたしを自分の隣に来させたため、もう隠れることが出来なくなった。
それでも目を泳がせ上手く避けようとするけど、双葉ちゃんの痛い視線を感じ、諦めてそっと双葉ちゃんの顔に視線を向ける。