春を待ってる

※ 美咲


本命チョコをもらいながらも、ちゃんと私と付き合ってると言ってくれたことが何よりも嬉しい。



「美咲が好き、美咲だけが好き」



肩を抱き寄せられて耳元で言われたりしたら、ホント恥ずかしい。やっとこさ貴一の腕から抜け出したら、



「俺のこと、好き?」



なんて聞かないでよ。
どんどん頰が熱くなってきて、どうしようもなくなってくる。追い討ちをかけるよう貴一が飛びかかってきた。押し倒すなり唇を重ねて、そっと離れてく。



「貴一、退いてよ、怒るよ?」



怒って退かそうとするのに、貴一は余裕の表情。力では負けて当然だけどムカつく。



「ダメ、まだ美咲の答え聞いてないから」

「答えって、何よ?」

「だからぁ……俺のこと、好き?」

「ば、バカなこと……」



じたばたしながら零れた声を、貴一の唇に拾われて飲み込まれてく。言葉だけでなく私の力まで吸い取った貴一が、未だしつこく尋ねてくる。



「俺のこと、好き?」



耳朶を啄まれて、ぴくりと体が跳ねてしまう。なんだか自分の体じゃないみたいで、恥ずかしくて悔しくて。



「好き……だよ」



掠れる声で告げた後、貴一の耳朶に噛り付いてやった。



飛び退いた貴一は泣きそうな顔。
うん、私の勝ち。



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